占いの理論と実際の検証方法

 筆者は、コンピュータ業界で15年間サラリーマンとして働いた経験がありますが、在職中社員500人を10年間以上観察し、理論と実際を検証するといった作業を行っております。つまり、各流派の良い部分(すなわち検証して当たる部分)だけを採用し理論を構築し、その上でソフトウエアを開発しております。


今の所、日本で改良されてきた方法よりも中国の本来のやり方の方が精度が高いという印象を持っています。人間の性格の理解というのは、1年程度では分りません。出世、解雇、左遷、などの人事や、仕事の失敗、成功、結婚前、結婚後、離婚、再婚など、あらゆる場面でその人間の心の動きや行動様式を観察して始めて人間の本音が見えてくるものです。ですから理論と実際の検証と言っても簡単ではありません。


例えば、9年間、会社の幹部候補として大切に育てられ待遇も優遇されてきて、周囲からはその服務能力と実力を評価され役員まで出世した方が、10年目にして会社のトップの不正を突然暴露し、裁判を起こした例などもあります。これなどは傷官と正官が並ぶ命式の方だったのですが、まさに中国の文献通り(”傷官見官”は名声を一時にして失う)であることを実証するまでに実に10年もかかったのです。


また、この会社の創業者は月上に偏財があってこれが忌む神になっているので、財運は人よりもあるが結局は身につかないという診断になります。しかし毎年業績が上がって、運転手付きの高級車を乗り回す創業者を見ている時期は誰一人としてこの偏財が忌む神であるということは納得しませんでした。しかしやがて業績が悪くなって大量の社員をリストラし、その結果裁判を10件以上も起こされその結果裁判で敗訴し、さらに会社を悪徳商人に乗っ取られ巨額の個人借金を抱えて落ちぶれましたがそうなってみて始めて、この方の財は忌む神であったと誰もが納得するようになったのですが、これも実証するまで15年かかっています。


当社ではこのように長年にわたる人間観察を通して、理論と実際を検証してきた経緯がありますが、”当たる当たらない”という言葉は安易に使うべきではないと思っています。


吉凶を実証し、”当たる当たらない”を検証するには、その人の人生を何十年もの長期間に渡って観察する必要があります。こういった実例を見てみますと、たとえ3万人の人を対象に実占をしようとも、短期間での観察で当たる当たらないという結論を出して四柱推命の理論を改良したりするのはどうかと思います。